「ピアニストの為の室内楽ワークショップ」開催に寄せて

 今回のワークショップは、チェリストにもホルン奏者にも愛されるSchumann: Adagio und Allegro op.70 を題材として取り上げ、この曲を通して”弦楽器との合わせ”と”管楽器との合わせ”の差を知るという企画です。以前から温めていた考えですが、今回、「室内楽ワークショップ」の第1弾のテーマにすることに致しました。
 全員参加のワークショップの開催は初めてですが、講師の方々を囲んで、少人数で楽しく室内楽を学ぶ催しにしたいと思っております。
 受講資格は、Schumann: Adagio und Allegro op.70 が弾けることですが、これまでにこの曲をチェロ、若しくは、ホルンと合わせた経験のある方にご参加いただけると大変嬉しいです。
 今回のワークショップでは、受講生の方に、チェロと合わせる場合とホルンと合わせる場合の両方を体験していただきます。全曲通しの合わせではなく、実際に合わせをする場合にネックとなる箇所の合わせ体験をしていただきますので、楽器による合わせ方の違いがはっきりおわかりになると思います。講師の藤田朗子先生には、演奏する際の注意点等のアドバイスをお願いします。
 弦楽器と管楽器と両方との合わせをするという機会は1人ではなかなか作れませんが、このワークショップを受講されると、実際に、チェロ、ホルンの2人の講師の方と合わせる体験をすることが出来ます。この体験を通して、弦楽器との合わせと管楽器との合わせの違いを、まず感覚的に知っていただきたいと思います。
 感覚的な理解と共に大切なのは、理論的な裏付けです。今回のワークショップは実践にウエイトを置く企画ですので、曲のアナリーゼには長い時間を掛けませんが、演奏に必要なポイントをしっかり押さえたアナリーゼ講義を第1回目のワークショップの折に行います。
 各回の最後には、講師2人が全曲通しの模範演奏を致します。受講生の方の全曲通しの合わせは今回組み込んでおりませんが、模範演奏を聴くことで曲の全体像をつかむことが出来ます。
 アナリーゼ、ご自身での合わせ体験、全曲通しの模範演奏を聴くことにより、受講生の方々の音楽生活がより豊かになると信じております。
 6月20日(金)には、このワークショップとリンクする2つの講座、「ハ音記号攻略講座」と「ホルン解体新書 移調楽器としてのホルン」を開催します。この2つの講座では、教材にSchumann: Adagio und Allegro op.70の楽譜を使います。Adagio und Allegro のチェロ譜、ホルン譜を読めるようになることを目的とする講座ですので、「ピアニストの為の室内楽ワークショップ」受講の方には、是非お受けいただきたい講座です。(詳細は、別紙”講座のご案内”をご覧下さい。)
 2回1組のワークショップと、2つのテーマの講座が、”合わせもの”の世界の羅針盤となることを祈っております。

〔企画:野瀬百合子〕